展開速度・志向とその構築への応用

http://d.hatena.ne.jp/rei-zouko/20131104/1383574972
の続き

<前回の補足・展開速度>

展開=強さが発揮されること、と広く定義しておきます。
展開速度というのは展開できるまでの速度(ターン)とします。

例えば、ボルトロスは初めのターンから先制で優秀な範囲で打ち分けている。初手から強さを発揮(=展開)しているので0ターン。
エアームドは交代して受け、次のターンで何かするまでが展開なので1ターン。
キノガッサは起点を作ったり無償降臨をさせたり工夫し、胞子身代わりするまでが展開なのでそれ以上。

一般に展開速度は対面志向>耐久志向>崩し志向です。
崩し志向が対面志向に弱いとする考えは、この展開速度の考えに基づいています。

以下から本編。



<軸では志向を集中させる>

構築をまず組む・軸を決める段階では、志向は同一のものを選択するのが好ましいです。

例として、ラッキーを軸に構築を組み始めました。ラッキーは耐久志向のポケモンです。なので、次に軸として採用するのは耐久志向のポケモンが好ましいことになります。ここで例えばキノガッサが重いからラムウルガモスを入れよう、と考えるのは多くの場合成功しません(軸ではダメだという話です。補完なら成功していることもあります)。軸でキノガッサを処理しようと考えるときには同じ耐久志向のグライオン等が適任となります。

耐久志向はサイクルを回すためにも、この志向の集中が必要です。対面志向はサイクル戦をあまりしないのでそこに耐久志向は入れられず、やはり志向の集中が必要。崩し志向も同様。他の言葉で言えば、コンセプトの一致、主張の一貫というものでしょうか。

※ただし、後で説明しますが、崩し志向と対面志向はそれほど相性が悪くなく、一緒に採用することがあります。



<志向による補完の考え方>

しかし、志向は三すくみになっています。構築6匹すべてを同一の志向だけに集中させると、それに対して強い志向に負けることになります。

具体的には耐久志向6匹で集めて
ラッキー@軌跡 エアームド@ゴツメ バンギラス@鉢巻 グライオン@ポイヒ ヤドラン@オボン ドクロッグ@ヘドロ
のような構築を作ると剣の舞ガブリアスでも鉢巻テラキオンでも悪巧み霊獣ボルトロスでも竜舞バンギラスでもトリックラティオスでも何でもいいですが崩し志向のポケモンにやられて解散することになります。

軸がほぼ決定したら補完を考えていくわけですが、補完には軸とは異なる志向を選択するのが良いです。



<耐久志向の崩し志向対策>

例えば受けループ。ラッキーエアームドの軸ではどうしても辛い崩し志向のポケモン達に対抗するために、ラティオス、スカーフバンギラス、スカーフガブリアス等の対面志向の採用がよくされます。

BW環境後半では高種族値ポケモンで集めたサイクル構築(クレセドランやバンギクレセローブ)が流行りましたが、そこに採用されているガブリアスもスカーフが結論だろうとされています。また、一時的な対面性能を得ることで崩し志向に対抗するために、クレセリアトリックルーム持ちが多かったと感じています。

バンギグライでも対面性能を飛躍的にあげる先制技を持つ鉢巻ハッサム・珠ガッサ・ローブシンや、単に対面性能の高いラティオスボルトロスの採用が多かったように思います。

XY初期環境ではサイクル構築が流行していますが、いずれも対面性能が高いガブリアスファイアロー、ガルーラ等と共存している様子が見られます。

この補完に採用する対面志向は耐性、種族値が高いポケモンが良いでしょう。何故ならば、そうすることで場合によってはそのポケモンを耐久志向のポケモンとして機能させることができるので、前述の志向の集中という観点により良くなります。ラッキーに抜群である格闘を半減できるラティオス(加えて高種族値ですね)は耐久志向としても機能しており、使い勝手が良いことでしょう。

これを例えば、対面性能が高くても耐性・種族値がいまいちなサンダース、マニューラゲッコウガあたりを補完で採用しても良くはならないことでしょう。サイクル戦をしないと耐久志向の強さが発揮できないということになります。

もう一つ。崩し志向のメタとして、打ち分けするポケモンが採用されることがあります。BWの環境の末期ではステロ+冷凍Bめざ炎クレセリア(一応対面志向に分類)で打ち分けて、相手が展開できないようにする、という動きが存在していました。崩し志向の展開速度の遅さを咎める、いわゆる先に展開する、というものです。

まとめ
・高数値・優秀な耐性の対面志向を採用
・先に展開する動きを作る



<対面志向の耐久志向対策>

例えば対面構築。ボルトハッサムマンムーでは崩し切れない耐久志向のポケモン達に対抗するためにポイヒキノガッサ、瞑想スイクン、竜舞カイリュー、竜舞バンギなどが採用されることになります。
場合によっては悪巧みボルトロス、珠ハッサム、鉢巻マンムーなど、本来対面志向であったポケモンに崩し性能を持たせているのも見られました。

対面志向のポケモンでも、単純に考えれば積み技を持つだけで崩し性能を持たせられるので、比較的対策は練りやすいと思います。もちろん、相手もそこまで考慮に入れているので簡単にはいきませんが、少なくともこれ以上崩しの手法を理論化する必要はないと思うので、しないことにします。

具体例に焦点を移します。
カバドリラティは典型的な対面志向です。カバルドンはいまいちとしても、ドリュウズラティオスの対面性能が圧倒的です。それに対抗するのが耐久志向ですが、カバルドンの砂ステロあくび、ドリュウズの剣の舞角ドリル、ラティオスのメガネトリック瞑想など崩しの手段には困まりません。自己で三すくみによる補完を完結させています。それでも難しいときのために崩し志向のキノガッサスイクンが採用されていることが多いです。

ニョログドラも対面志向の色が濃いです。グドラが圧倒的な対面性能を誇っています。ただ、ニョログドラにおいては崩しの手段が乏しい(アンコール毒々滅び、竜舞くらい)ので、やはりキノガッサテラキオンソーナンスバシャーモと組まれることが多いです。ただ、ニョロトノは志向がはっきりしない(役割を持たせ辛い)という欠点を持っています。ゴツメトノ(耐久)スカーフトノ(対面)、脱出ニョロトノ(未分類だが役割を持てる)などで役割を持たせています。

ノオーガブに採用されるトドゼルガは耐久志向に見えますが、みがまも絶対零度による崩し志向の色も強いです。


まとめ
・対面志向のポケモンに積み技を仕込むか、単に崩し志向のポケモンを入れるだけ



<崩し志向の対面志向対策>

ここまでの流れから、じゃあ耐久志向のポケモンを採用すればいいのか、と思うかもしれません。しかし、それは難しいです。なぜなら崩し志向と耐久志向の相性は最悪だからです。冒頭で話をした展開速度という観点から、崩し志向と耐久志向は展開速度がまるで違うため噛み合いません。この志向の三すくみの理論で説明が難しい部分の一つです。
追記:よく見たら展開速度は比較的同じですね;;「展開速度が両者とも遅いのに、その性質がまるで違う(志向が集中できてない)ので、中途半端になってしまうため」と訂正します。受け回すのと積んで全抜きを目指すのは全く違うものだということです。

では、どうすればいいのか。崩し志向が対面志向に弱いされるのは展開速度の遅さや、上から殴られることが基になっています。なので「先に展開すればよい」という結論になります。

・起点を作るポケモンを用意

例えばユクシーであくび置き土産、ライコウの壁、ラティオスでスカーフトリックで相手を弱体化させます。こうすることで相手の対面志向が弱体化し、こちらの崩し志向が展開しやすくなります。
(一応、相手が弱体化することでこちらが耐久志向としても機能する、という見方もある)

・対面志向の採用

BW末期に流行った考えです。対面志向にはそれ以上の対面志向を持ったポケモンで対抗させます。例えば襷マンムーや襷ボルトロス(強力な対面志向)を採用すれば、相手の対面志向にも負けることも中々ないでしょう。さらに初手にこれらの対面志向を出すことで、相手の耐久志向を呼びます。マンムーボルトロスを適当に退場させた後、こちらの崩し志向を展開させるのです。こうすれば相手よりも先に展開することができます。

これは選出誘導という観点からも有効だと説明できます。例えば、崩し志向の珠ハッサムを活かすためにニョログドラを採用する構築が存在していました。選出誘導は相手への依存性が高い要素なので安心はできませんが。

また、見方を変えれば崩し志向を活かすためには「対面志向の補完として軸を使う」と考えることもできます。欠点としては、対面志向には対面志向で対応できるだろうという考えが基なので、いざ対面志向ミラーになると5分5分になることが多いことでしょうか。

まとめ
・先に展開する
↓そのために
・起点作り要員の採用
・対面志向の採用




以上。

まあ振り返って見れば当たり前の話でした^-^;
組みやすさで言えば対面>耐久>崩しですね。よってガチ入門の方々に勧めるのはカバドリ、ニョログドラ、ノオーガブ、対面構築あたり。

補足 例は5世代のものを元にしています。XYでは異なってるケースもあるかと。あと、XYでは天候が永続じゃないのでカバドリ、ニョログドラはオススメしません(⌒-⌒; )