綺麗な構築・汚い構築

よく「綺麗な構築」、「汚い構築」と聞きます。今回はその定義付けへの挑戦です。ただ、その前に注意しなければいけないことがあります。

確かに、強い構築のほとんどは綺麗な構築であり、綺麗な構築であることは強い構築であることの必要条件だとも考えられます。

しかし、綺麗な構築が強い構築だとは限りません。多くの場合「強い構築⇒綺麗な構築」は成り立っても、逆は成り立つとは限らないということです。
なので考察する順番はまず「強いかどうか」であり、「綺麗かどうか」ではありません。「何々を採用したいが、そうすると綺麗じゃなくなる」と悩む暇があれば先にそいつを採用してみて、あとで綺麗さの辻褄合わせをすれば良いのです。それでどうしても綺麗さが失われた時に初めて考え直せば良いのです。

妙な例を出しますが、強さと綺麗さが定量化できたとし、Aの構築が強さが100で綺麗さが80、Bの構築の強さが80で綺麗さが100だとしたら、おそらく強さの大きいAの構築のほうが勝率は高いです。綺麗さはある程度確保できていれば大きな問題にはなりません。要は構築が汚くなければ良いのです。

よってこの記事の目標は「構築の綺麗さを目指すこと」ではなく「構築の汚さを抑えること」です。後者の議論をメインに話を進めていきます。
ここまでで、前置き終わり。

さて、綺麗な構築の意味ですが、個人的には「バランスの良い構築」です。よって汚い構築は「バランスの悪い構築」です。バランス、という言葉も曖昧なのでいくつかの項目に分けて説明します。


1.タイプ被り
例えばライコウボルトロスは同じ電気タイプなので同居させると汚く見える傾向があります。
ただ、カバドリの同居、ニョログドラの同居、ルカリオギルガルドの同居、ガブカイリューの同居など「強さ」が優先されるケースも多々あります。

これは、主に志向の違いによって汚さが解消できるようです。襷ステロガブリアス(対面)と竜舞カイリュー(崩し)は志向が異なってるので、そこまで汚く見えません。むしろ、対面志向のガブリアスで耐久志向を呼び、それを崩し志向のカイリューで突破する、というのは強さの観点からは理にかなっています。

極端な例では、第五世代でカバドリガブを同居させている構築を見たことがあります。それも耐久志向のカバルドン、対面志向の襷ドリュウズ、崩し志向の剣舞ジュエルガブリアスの同居であったと考え直せば納得できます。

また、格闘、竜、飛行、鋼は優秀なタイプなため、二匹被り程度なら汚いとされにくいです。


2.一貫性
あるタイプの一貫性を生じさせてる構築は汚いとされます。特に竜、地面、格闘、電気、飛行、岩にはそれぞれ強力な要素が存在しており、一貫性を消すのがベターです。

竜→一貫性を消さなければ鉢巻ガブ、スカーフガブ、眼鏡ラティオスだけで試合が終わってしまいます。フェアリー、鋼のどちらかあるいは両方を構築に入れておきたいです。ただ、フェアリーには数値の高いポケモンが少なく、入れた方が損になるケースもあります。

地面→地震という威力が高く、多くのポケモンが覚える技があるので一貫性を断ち切る浮遊or飛行タイプは欲しいです。浮遊or飛行タイプは単純に数が多い上、強力なポケモンも多く、一貫性を消さない方が損だと言えるかもしれません。

格闘→気合玉インファイト馬鹿力マッハパンチなどの優秀な技があり、格闘タイプにはキノガッサルカリオローブシンバシャーモなど優秀なポケモンがいるため、一貫性は消しておきたいです。ただ、ゴーストタイプは数が少ないので、無理に入れる必要はないと思います。エスパーフェアリー飛行などで十分です。ただ、格闘タイプはサブウェポンが優秀なので実は対格闘は結局安定しないことが多いです。一貫性は少なくとも消しましょう、とだけ。

電気→電気タイプにはボルトロスライコウロトムライボルトサンダーなど優秀な駒がいる上に、電磁波やボルトチェンジが強力です。これらの技は無効にしなければ意味ないので蓄電or地面タイプは欲しいです。実際にはサブウェポンのめざ氷で崩されることも多いですが、相手のボルチェン電磁波を安定行動にしないという点では意味があります。

飛行→ファイアローの鉢巻ブレバとトゲキッスのスカーフエアスラには崩されないようにしたいです。

岩→ストーンエッジが強力な上、サブウェポンとして採用が多い技です。特にバンギラスの鉢巻エッジには崩されないようにしたいです。


逆に、一貫性を消したいが対策が限定的すぎるために、一貫性を消しにくいタイプも存在します。

水→強力なポケモンが多いです。水の一貫性を消してもサブウェポンの冷凍ビーム等が強いのであまり意味がないことも。
虫→とんぼ返りは強力ですが、無効にしないと意味が無いです。
ゴースト→一貫性の高い技なのでできれば消したいですが、ノーマルタイプor悪タイプしかない状況。
氷→つららばりや吹雪は半減しても結構食らいます。氷対策というよりはユキノオー対策、パルシェン対策、マンムー対策を個別でしていった方が良いです。「氷対策をするな。パルシェン対策をしろ」です。
ノーマル→ノーマルの一貫性というよりは、ガルーラ対策。

普通に組めば一貫性が消えてるはずorそんなに気にならないはず→草、炎、毒、鋼、エスパー、悪


3.特定のタイプの存在
竜→弱点が少ない上に草炎水電気の耐性を持っていることから、入れなければ損(汚い)とされる傾向があります。フェアリータイプの追加により疑問視する声もありますが。フェアリータイプに地震を打てるガブリアスの圧倒的多さに納得できます。

鋼→竜を含む10のタイプに対して耐性があり、これも入れなければ損(汚い)とされる傾向があります。ただ、鋼タイプには強力なポケモンが比較的少なく、そんな「だらしないポケモン」を入れるほうが損だという見方もあります。
耐性で言えば、例えばバンギグライやバンギクレセのように特殊と物理に役割を分担することで、鋼タイプを構築から抜いているケースがあります。ただしその場合は、極端な崩し志向である剣舞ガブや破りパルシェンなどで崩されることも多いです。


4.志向
自分の言葉で説明するのは恥ずかしいのですが、似た意味の言葉が見つからないので仕方なくこれで説明します。

ここまで、タイプの観点で綺麗さの話を進めてきましたが、相性補完の重要さはその構築の志向によって大きく変化します。例えば耐久志向の構築では相性補完はかなり重要ですが、崩し志向の構築では相性補完をそれほど重視しません。崩し志向では受けることをしないためです。一般に相性補完を気にするべきなのは「耐久志向>対面志向>崩し志向」です。積み技サイクルや壁構築などの崩し志向の構築では、相性補完の観点から「汚い」構築が目立ちますが、そこまで大きな問題とはなりません。

・志向の集中
志向が集中しないと汚く見えます。ハピギルガウルガパルシェンボルトゲッコウガ、みたいなのは相性補完の上では綺麗でも、汚く見えます。

・志向の偏りすぎ
さっきと逆のことを言いますが、志向が偏りすぎてもバランスが悪いです。ハピグライムドークレセバナヌオー、パルガッサウルガカイリューハッサムゴチルなどはやりすぎな感じです。1,2匹でも違う志向のポケモンがいれば大分見栄えが変わります。


5.物理特殊比
攻撃面では物理と特殊の比が釣り合ってるのが理想です。ただ、崩し志向のポケモンが多い場合は特に気にする必要もないかと。


最後に。構築の綺麗さ=バランスが良ければ、それだけ色々な構築に対応でき、長く使うことができるということを意味します。XY環境はまだまだ始まったばかりです。構築の綺麗さが評価される時期なのではないか、とも思っています。